セゾンさゆりのブログ 2020.1.20

Sayuri Baird

遅くなりましたが、新年明けましておめでとうございます。

 

2020年はベアードブルーイングにとっても大きな節目となる年です。ベアードブルーイングは今年で創業20周年となります。2000年の3月に法人として合資会社ベアードブルーイングを登記、同7月には沼津フィッシュマーケットタップルームが開店しました。当初はまだ醸造免許が下りていなかったため、樽でギネスやヒューガルデン、瓶でアメリカやベルギーのクラフトビールを提供していました。そして2000年の12月に遂に醸造免許が下り、2001年の1月よりフィッシュマーケットタップルームにベアードビールが繋がり、お客様への提供が始まりました。

今思い起こせば、沼津に縁もゆかりもない若い夫婦が、幼い子供二人を時には赤子を背負いながらよく起業したものです。私達にはおいしいビールを造って、それをわかってもらう人たちに届ける、という熱い情熱しかありませんでした。

振り返ると波乱万丈すぎる20年。お互いに出会ってからの23年は、山あり谷あり、いくつかの大きな壁も一緒に乗り越えてきました。いまやお互いの関係は、夫婦というよりも同志。いくつもの戦いを一緒に戦ってきた同志、という感じです。

子供達も小さい時はほとんどの時間をタップルームで過ごしました。小学生の時には、宿題をお客さんが一緒にやってくれたり、忙しい時には、常連さんが近くの千本公園や沼津港界隈に遊びに連れて行ってくれました。週末には遊園地や動物園にも連れて行ってくれたりと、本当に多くの方のお世話になりました。今ではとても懐かしいいい思い出です。

そんな子供達も長女23歳に。今ではタップルームに勤務し、昔懐かしい常連さんと一緒にビール談義ができるほどに成長しました。彼女の音楽やアートのセンスの良さがタップルームでも活かせる日が近いでしょう。次女のアッシュは今年は成人式のはずでした。まさか20歳になるまで生きられないなんて、昔のあの元気いっぱいのいたずら好きのアッシュを知っている方々には、もちろん私達さえ、想像できませんでした。突然に治療法のない希少小児ガンによって奪われた命でしたが、短かったけれど輝きに満ち溢れた18年だったことは間違いありません。留学先のアメリカでは2014年から3年連続女子クラブサッカーチームで全米チャンピオンになることができました。日本とアメリカで数多くの友達や素晴らしい先生方に巡り会い、アメリカでのホストファミリーも本当によくアッシュのために尽くしてくれました。今でも多くの方の心の中でアッシュのあの優しい笑顔が輝いていることを信じています。三女は進路に悩む高校2年生。来年は大学受験。海外と日本、どちらに行くかによってこれからの人生を大きく左右するでしょう。いろいろなことに挑戦し、将来につながる何かを見つけて欲しいですね。そして四女といえば、アッシュの後姿を追ってサッカーを始め、今年サッカーの強豪校に入学します。今年の高校サッカーは、男子も女子も揃って静岡県勢が制覇!なんとその女子を制した学校へ入学します。将来のなでしこ目指して、がんばれ!



このように、ビジネスと家族を同時進行で育んできた私とブライアンですが、両方ともいいことばかりだった訳ではありません。ただいつも前向きに一生懸命取り組んできたことは確かです。人生のどん底を感じたら、上を向いて這い上がるしかない。暗いトンネルが続いたら、光が差している出口を模索するしかない。常に前進あるのみ。

日本のクラフトビール業界も、世界標準からかけ離れた酒税の高さがネックとなり、小規模な醸造所が利益を出しにくい環境にあります。今年から10年をかけて酒税がある程度下がってきますが、それでも他のアルコール飲料と比較するとまだ高すぎます。アメリカでこんなにもクラフトビール業界の成功事例が出ているのは、醸造規模に応じた酒税の料率があるからです。日本と比べると40分の一の州も!アメリカのブルワリーの友人達に日本の酒税の料率を話すと、皆目を丸くし、顎が外れるほど驚きます。そんな料率じゃどこもやっていけないよ、と。

ただ、郷に入っては郷に従え。私達のような小さな一醸造所が声を上げても、何も変わりません。そこで2014年には規模を拡大し中堅規模になりましたが、思った以上に市場の伸びが遅く、そこに大手企業のクラフト参入や海外からの輸入品も加わり、ますます市場競争が激しくなっています。ただ私達のできることは、地道にコツコツと品質の高いビールを造り続けること。

同期のサクラのサクラの言葉を借りれば:

「私には夢があります。いつか個性的でおいしいクラフトビールが、こだわりの日本酒やワインやウイスキーのように、一流のレストランや、専門店、そして一般的な大衆酒場で、飲めるようになることです。

私には夢があります。いつか家族や従業員やお客様と、クラフトビールを続けてきて良かったね、と心の底から笑いあえる日が来ることです。」

そんな未来を夢見て、また次の20年も続けていけるよう、次の世代を育てながら、一生懸命頑張っていきますので、これからも応援よろしくお願いします!

ベアードさゆり

PS:今回は思いが積もりすぎて、長くなってしまいました。。。すいません。

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