セゾンさゆりのブログ 2023.4.17
Share
ベアードビールファンの皆様へ、
皆さんはベアードビールのロゴとタップルームのロゴを思い描くことができますか?
まずはベアードビールのロゴを思い描いてください。すべてのベアードビールに共通する哲学が書かれています。“Balance・Character・Complexity”。ブライアンの造るビールには方程式があり、「バランス+複雑さ=個性」。バランスがありながら、複雑さもある。それがベアードの目指すところの個性になる、と定義しています。
そして原材料の中でも一番個性を象徴しているのが、ホップ。ベアードのロゴにはそのホップが描かれており、創業当初からホップの香りを大切にしたいと、生ホップだけを使用しています。一般的にはペレットと呼ばれるホップから必要な成分だけを抽出した粒状のものが使用されています。ペレットの方が、コンパクトに保管でき、麦汁の中でしっかりと溶けるので無駄もありません。一方で生ホップは、冷凍庫で保管、量もかさばり、ホップが麦汁を吸ってしまうため、出来上がりの麦汁の量も少なくなってしまいます。それでも、香りの質が違うと私たちは信じているため、ずっと生ホップだけを使用しています。特にライジングサンペールエールやスルガペイインペリアルIPAのあの香りは、何とも言えないですよね!華やかで爽やかで複雑な香りに、それだけで酔いしれてしまいます。
続いてタップルームのロゴを思い描いてみてください。Celebrating Beerという文字とハンドポンプが描かれています。創業当初は、フィッシュマーケットタップルームでは、すべてのビールがリアルエールとして提供されていました。そのためロゴにハンドポンプが描かれているのです。今思えば、無謀なスタートでした(泣)。ちなみに、リアルエールとは、イギリスの伝統的な製法で造られるエールビールのこと。通常のエールは、一次発酵が終わると貯蔵タンクに移し、タンク内での二次発酵による熟成後、樽や瓶に詰められますが、それに対して、リアルエールは、一次発酵後のビールをそのまま樽に移して、樽の中で二次発酵、熟成をする製法です。また酵母を取り除かない無ろ過なので、熟成具合や、開栓する時期によって味わいが異なることが特徴的です。また提供時には、樽内の炭酸を抜き、汲み上げ式(ハンドポンプ)でサービングするため、口当たりが優しくスムーズな飲み心地となります。イギリスのパブ文化を広めたいとハンドポンプもイギリスから取り寄せ、リアルエールとして提供していましたが、創業当初は、お客様も少なく、エールビールも浸透していない時代だったので、このやり方では大きなロスが発生し、非常に厳しい経営でした。その後ビールスタイルによっては、ビールサーバーから提供したほうが品質も高く、長く楽しめるということで、今のパネル冷蔵庫式のサービングシステムへ進化していきました。
今でもすべてのベアードビールは、樽内/瓶内熟成ビールなので、樽をサーバーに繋ぐまでは、リアルエールなのです。
現在沼津、中目黒、原宿、高田馬場、馬車道の2タップ以上ハンドポンプが常設されている店舗では、2種類のリアルエールが楽しめるよう、リアルエールづくりを再開しました。以前醸造したことのある季節限定ビールで現在作られていないものを中心に、復刻ビールをいくつか作っています。現在は「ミッドナイトオイル エキスポートスタウト」が繋がっている店舗があります。漆黒の深みのあるスタウトですが、オイリーでスムーズで、とても喉どおりが優しくなめらかです。黒ビールが好きな方は、島国スタウト、黒船ポーターとの飲み比べも楽しいですよ。
リアルエールは管理方法によっても品質に大きな差が出やすいので、ベアードの直営店でしか販売していません。
まだ試したことのないお客様は、是非この機会にベアードタップルームで飲んでみてください。目を閉じると、イギリスのパブに一瞬だけでも紛れ込んだような、そんな気分にさせてくれるビール達です。乾杯!
Cheers!
ベアードさゆり